テープ起こしの歴史

テープライターの中森です。

言語の記録を文章化する作業というのは、はるか昔の古代文明の時代から行われていたとされ、これが、テープ起こしのはじまりだといわれています。

文明の力、文化の発達によって、文字とそれを記録する紙や板などが用いられるようになった時代から、自ずと文章化する作業というのは行われていたんだそうです。

テープ起こし 歴史

出典元:写真AC

速記法の考案

一般的な話し手の発話速度というのは、書記者の人力筆記がいくら優れていたとしても、追随していくのはかなり困難なことです。

そのため、その時代というのは、要旨部分の要約をはじめ、事前ないしは、事後の原稿を参照しながら編集を行って極力再現するしかなかったといいます。

これでは当然ながら、音声を今のように忠実にテキスト化(文章化)することは難しいといえますし、そのことからも、記録や内容の改ざんも付き物だったようです。

17世紀以降になると、「近代的な速記法」が考案されることになります。その後、改良が進められて、専門の速記者が話し手の発言している内容を記録することができるようになったのです。

タイプライターの実用化

19世紀後半に、欧米諸国ではタイプライターが実用化されることで、手書きよりも高速での打刻(タイプ)が可能となりました。

しかし、速記術や高速での正確なタイピング作業には、高度な専門技能が必要なため、そのスキルを持つ者を雇うコストは高くつき、資金力のある企業に限定された技術であったといいます。

なお、話した内容を忠実に記録できるようになったのは、1877年に、トーマス・エジソンが発明した蝋管式レコードの出現からになります。

現代の音声ファイルのように、音声を録音して文章化の作業に利用するという動きが本格化してきたのは、録音メディアの主流が円盤形レコードになった遥か後年だといいます。